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赤十字(戦死者達の記録)

  • 一般小説

    純文学,赤十字の旗の下に,死ねない兵隊,弟を撃つ,人肉喰い,筵のベッド,島のカトリック教会,洞窟の骸兵,ニューギニアの人,カウラ捕虜収容まで

    作品タイトル:赤十字(戦死者達の記録)

    エピソード名:第2話 死への待合室

    作者名:honkakubow1951

    現代ドラマ・社会派 | 完結 | 63話 | 86,466文字

     <長編戦争小説>
     自分は誰の為に戦って居たのだろう。
     自分は何の為に戦って居たのだろう。
     自分は何故、こんな時代に生まれたのだろう。
    振り返ると・・・、
    自分は軍服を着て『戦友(人)の肉』を喰らっていた。
    八十年経たこの洞窟に、軍服を着た『自分の遺骨』が眠っている。

     軍人勅諭
    一つ 軍人は国家につくすべき
    二つ 軍人は礼儀正しくすべき
    三つ 軍人は武勇を大事にするべき
    四つ 軍人は信義を大事にするべき
    五つ 軍人は質素にするべき

    昭和十九年(1944)~昭和二十年(1945)
    投入兵(十五万七千人)・終戦時の生存者(一万三千人)。
    死亡率九二%
    戦死者の八十%は 『餓死・病死』

    『ジャワの極楽、ビルマの地獄、死んでも帰れぬニューギニア』

    東部ニューギニア戦線 従軍兵の記録から

     ・・・そりゃ、酷いモンでしたよ。
    兵隊サンが一発撃てば、百倍にして返って来るんです。
    兵隊サンが一人見えたら、動かなくなるまで連射して来るんです。
    だから、兵隊サンは『戦えない』んです。
    兵隊サンは『隠れて居た』んです。
    ジャングルの洞穴で飲まず食わずで『生きる事と闘っていた』んです。
     ある「部隊長」サンは独断で降伏し、俘虜に成る事に決めたそうです。
    多くの兵隊サンは、
     「自分は残ります!」
    と「反対」したそうです。
    すると、部隊長サンは手榴弾を地ベタに並べて、
     「反対する者はそれを取って直ぐに敵陣に突撃して来い」
    と命令したそうです。
     「できないのなら、俺と一緒に来い!」
    全員が決断する迄に時間なんて必要ありません。
    要するに、すでに戦闘集団(部隊)の体(テイ)を為していなかったのです。
    兵隊サンは急いで汚れた褌(フンドシ)で、『すすけた白旗』を数枚作ったそうです。
    褌を外した兵隊サンは南京袋を腰に穿いて、降伏して行ったそうです。
    万歳じゃなくて、まさに『漫才』ですよね。
    軍人勅諭?そう言えば『軍隊手帳』に何か書いて有りましたね。
    『そんなモノ』は・・・失(ナ)くしました。

     この小説は読み流す作品ではありません。
     評価や価値を期待するモノでもありません。
    アナタの父や叔父達が軍服を着たままこの『不条理の島』に眠っているのです。

    ※ この作品は著作権を放棄したものではありません。