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昇り龍 与力の藤堂八郎③

  • 一般小説

    昇り龍,彫り物,夜盗

    作品タイトル:昇り龍 与力の藤堂八郎③

    エピソード名:二十三 昇り龍

    作者名:makitajuuri

    歴史 | 完結 | 24話 | 36,694文字

     両親を斬殺した夜盗の左胸に、昇り龍の彫り物があった・・・。

     国問屋大黒屋の主の部屋に夜盗が入る。異変に気づいた長女の雪は離れの寝所で目を覚す。隣で眠っていたはずの次女の多美がいない。長女の雪はこっそり親の寝所がある奥座敷を隣の座敷から目撃して夜盗の話を聞いていたが、父親が土蔵の鍵を奪われて両親が夜盗に斬殺されるのを見て失神するが夜盗の左胸に昇り龍の彫り物があるのを見ていた。
     翌朝、惨劇を知った大番頭は主夫婦が病死したと奉公人を口止めし、盗まれた品々を確認し、火付盗夜盗改方に悟られぬように北町奉行に内密に連絡した。火付盗夜盗改方が動くと奉公人が冤罪に問われるからだ。
     北町奉行は内密に与力の藤堂八郎に事件解決を指示した。藤堂八郎は主夫婦を病死として処理し事情聴取する。雪は夜盗の体型を語り、外で見張っていた夜盗の一人は女で、主夫婦を斬殺したのは大番頭と番頭に似た体型だったと言うが、何かが気になり、夜盗の昇り龍の彫り物については話さなかった。
     これだけでは、手掛りにならないと思う藤堂八郎は、土蔵から盗まれた品を誰が知っていたか問うが、取り引きを担当していた大番頭も番頭も、済まれた品はの商いは内密で誰にも話していないと言う。藤堂八郎は長女の雪の話から、夜盗は明らかに大黒屋の取り引き品に精通していたと判断し夜盗は大黒屋と関わりある者だと判断した。
     主夫婦は病死として葬儀がなされ、大黒屋の主夫婦は菩提寺の円満寺の墓地に埋葬された。その様子を下女の布佐が見ていた。

     御上からの指示で、布佐は円満寺での年期奉公が開けると、安針町の鍼師の燐家を借りて金貸しをはじめた。布佐は沢庵と目刺しと小松菜の菜(さい)で飯を食い、ひっそりと暮しながら金貸しを続けた。布佐の金貸しは多額を貸付けぬが利息が安く評判だった。
     その布佐が利息を上げた。だからといって布佐の暮らしが変ってはいない。相変らず沢庵と目刺しと小松菜の菜(さい)で飯を食う。
     布佐が若い男と会っているのを、金を借りた大工の又八が目撃して有らぬ噂を広めた。そのため、安針町の金貸しお婆の布佐は悪どい貸付けをして若い男に貢いでいると噂になった。
     布佐が夏の夕刻、若い男と会っていた。世間は布佐が若い男に金子を貢いでいると思った布佐が金子を溜めこんでいるとみた夜盗が布佐の家に押し込むが金目の物は無い。いろいろ問いただすうちに、夜盗は震えあがって家から飛び出した・・・。