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揺蕩う有毒性偏愛論

  • 一般小説

    男子高校生,ブロマンス,シリアス,残酷描写

    作品タイトル:揺蕩う有毒性偏愛論

    エピソード名:十八、触らぬ霊にも祟りなし

    作者名:Neru_Asamoya

    現代ドラマ・社会派 | 連載中 | 18話 | 53,686文字

    『雅、俺のこと愛してる?』
     そう問い掛ける相手は、生死の狭間を彷徨っていた。

     ─​───────

     伊瀬雅は、兄の住むアパートに、半ば居候として暮らしている。
     通う高校が近いからという理由で、親を説得して実家から転がり込んできていた。
     しかし、本当の理由は別にある──。
     
     夜の十時過ぎ。
     風呂上がりの雅がリビングへ向かうと、今日もまた、いつもと同じようにスマートフォンの通知音が鳴った。
     そろそろ来る頃だと予想していた。
     チャットアプリを立ち上げて、『夜宵』とのトークを開く。
     
    『雅』
    『ねぇ、』
    『無視しないで』
     数分と経たない勢いで、コメントが並んでいる。
     一番下の文章は、
    『連絡くれないなら死ぬから』
     その次に目にしたのは、幾重にも刻まれた手首の傷。

     また一つ、増えていた。

     静止画像に残されている滲む赤は、鮮やかに零れ落ちそうだった
     その全てに動じることはなかった。
     昨日までは──。
     
     ─​───────

     夜宵は雅に執心している。
     それは、中学生の頃。
     二人の間に起きたとある出来事が切っ掛けだった。

     手首に刻むようになったのもその頃から。

     だから、いつものこと。
     その日も、いつものように返事をしていた。

     しかし、夜宵の元へ向かって目にしたものは──。

     病室で意識が戻らない身体から、魂だけが抜け出して雅の元へとやってきた。

     その日から、不可解な出来事と共に、雅へ好意を寄せる者や、新たな関係者が次々と不幸に見舞われる事件や事故が勃発する。


    ※軽微なホラー要素があります。
    ※各セルフレイティングを設定しております。
    ※登場人物のイラストは全てピツメーカー様を使用しております。