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音夢物語

  • 一般小説

    仏教,コメディ,ヒューマンドラマ,女主人公

    作品タイトル:音夢物語

    エピソード名:第9話

    作者名:suhunin2

    現代ドラマ・社会派 | 連載中 | 18話 | 37,822文字

    私の名前は音夢。
    私の家は代々続く真言宗の家系だ。私は物心つく頃から、父親に仏教ばかりやらされていた。短大を出て、二十歳になった私は、半ば強制的にお寺の手伝いをさせられる羽目になった。
    私の人生はきっと死ぬまで同じ道が決まっているのだろう。夢も持てず、希望もなく、一生尼僧として生きていく。
    他の道に進みたかった時期もあるが、仏教をずっとやってきた人間にとってそれは拷問に近い行為だった。俗世間と関わるということは、苦しみと関わるということなのだ。一切皆苦……そう、この世は全て苦しみなのである。
    仏教をやってきた人間にしかわからない境地というものがある。私は本能的にこの世が汚染された世界だということを知っていた。
    私はお父さんから謎の修行を課せられた。
    あとで聞いた話によると、その修行の内容とはお寺にやってくる人たちの悩みを聞き、解決してあげることだということがわかった。
    「……なんだそんなことなのです」
    (大した修行だねえ、音夢。これからやっていく自信はあるかい?)
    (わからない……でも精一杯やってみるつもり。いつまでもお父さんの言いなりは嫌だもん)
    (うん、その意気だ。応援しているよ、音夢)
    観音様はいつもの様に私を応援してくれていた。こうなったらやるしかない。私の人生は私のものだもん。いつまでもお父さんの言いなりでいてたまるか。
    いつかお父さんに目にもの見せてあげるんだから。
    そうしてその日から私の修行は始まった。
    お寺に訪ねてくる人は一体どの様な人たちなのだろうか。私は内心楽しみにしているのだった。